『けものがいる』グザヴィエ・ドラン声出演シーン公開 ベルトラン・ボネロ監督コメントも

4月25日に公開されるベルトラン・ボネロ監督最新作『けものがいる』より、グザヴィエ・ドラン出演シーンの本編映像が公開された。
第80回ヴェネチア国際映画祭の公式批評スコアで1位を獲得した本作は、『SAINT LAURENT サンローラン』『メゾン ある娼館の記憶』などのボネロ監督が、イギリスの文豪ヘンリー・ジェームズの中編小説『密林の獣』を大胆に翻案。近未来をクールに映像化した2044年、35ミリフィルムで撮影された1910年、実際の事件にインスパイアされた2014年と、3つのコンセプトの世界観を緻密に構築した。
主人公のガブリエル役を演じたのは、『007』シリーズや『デューン 砂の惑星PART2』などで知られるレア・セドゥ。また相手役となるルイ役には当初ギャスパー・ウリエルが決定していたが、2022年1月に不慮の事故で急逝したことで、『1917 命をかけた伝令』のジョージ・マッケイに役が託された。共同プロデューサーには監督のほか俳優としても活躍するドランが名を連ね、声の出演も果たしている。
ボネロ監督はドランが本作に加わることになった経緯を「私と彼は長い付き合いで、お互いに評価し合っている関係です。何か一緒にしたいとずっと思っていました。本作はカナダとフランスの共同制作になったので、彼に声をかけました。ですので、それは友情から始まったと言えます。彼は『Mommy/マミー』で、私は『SAINT LAURENT/サンローラン』でカンヌ国際映画祭に参加していたときに初めて会ったと思います。また私はケベック州に住んだこともあります」と、ドランの出身地であるカナダのケベック州にボネロ監督が住んでいたこともあり、友情を深めたと語った。
公開されたのは、ドランが声のみ出演をしているシーンの本編映像。進化を遂げたAIが管理する2044年のパリ。セドゥ演じるガブリエルが、有意義な職に就くためにDNAの浄化によって“感情の消去”をするセッションを受けているシーンで、ドランは面接官で指導役のAIの声を演じている。ドランの出演についてボネロ監督は「本作では彼にオファーする役柄はなかったが、オンラインでセッションを重ねているときに、『感情のない声』が必要だという話をしたら、最初は『僕はそんな声は無理だ!』と彼は言っていたのですが、結果的には引き受けてくれました」と語った。
さらに本作はエンドクレジットがQRコードになっており、物語の最後に突然現れるQRコードはヴェネチア国際映画祭の上映時も大きな話題となった。このQRコードついてボネロ監督は「世界初」だと語り、「映画に見合ったものになっているのではないだろうか。一般的に言って、エンディングクレジットが流れる時間は感動的な瞬間だ。音楽があり、それに沿うようにして俳優やクルーの名前が現れては消えてゆく。観客は次々と立ち上がって、ふたたび外の光を見いだす準備をする。この映画は、感情が追放された世界を描いているのだから、エンディングクレジットの時間から感情が排されているのは理にかなっていると思う」と明かした。なお、QRコードにはクレジットだけでなく、特典映像が含まれているそうだ。
■公開情報
『けものがいる』
4月25日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか 全国順次公開
出演:レア・セドゥ、ジョージ・マッケイ、ガスラジー・マランダ、グザヴィエ・ドラン(声)
監督・脚本・音楽:ベルトラン・ボネロ
共同プロデューサー:グザヴィエ・ドラン
配給:セテラ・インターナショナル
2023年/フランス・カナダ/仏語・英語/ビスタ/5.1ch/146分/原題:La bête/英題:The Beast/字幕:手束紀子
©Carole Bethuel
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