『ドラゴンボール』を手がけたジャンプ伝説の編集長・鳥嶋和彦の仕事術が一冊に『ボツ』が発売

編集者・鳥嶋和彦の仕事術が一冊に

 『少年ジャンプ』伝説の編集長が「メガヒット連発」の仕事術を大公開した書籍『ボツ 『少年ジャンプ』伝説の編集長の“嫌われる”仕事術』(小学館集英社プロダクション)が、5月22日に発売された。

著者の鳥嶋和彦は1976年に集英社へ入社。創刊8年目の『週刊少年ジャンプ』編集部に配属され、鳥山明、桂正和、稲田浩司らの才能を発掘・育成。アニメ・ゲームを含むメディアミックスを推進し、1993年に『Vジャンプ』創刊、1996年には『ジャンプ』6代目編集長を務める。後に集英社の専務取締役、白泉社の社長・会長を歴任。著書に『Dr.マシリト 最強漫画術』(集英社)がある。

 本書では、漫画、アニメ、ゲームとあらゆるメディアを股にかけ、数々のヒット作を生み出してきた鳥嶋和彦が、自身のキャリアを通じて築き上げた「ヒットの作法」とも言える編集哲学を惜しみなく明かしている。

『Dr.スランプ』『ドラゴンボール』『電影少女』『ダイの大冒険』『ONE PIECE』『NARUTO-ナルト-』など、彼が関わった作品群はすべてが記録的な人気を博しており、ゲームにおいても『ドラゴンクエスト』や『クロノ・トリガー』といった金字塔が名を連ねる。

 その裏側には、数々のプレッシャーと失敗、そして並外れた執念と情熱があった。『ドラゴンボール』の人気が急落した際には「天下一武闘会」を導入することで再浮上を図り、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』は、上司の一言に奮起して誕生した異色のメディアミックス作品として生まれた。また、『ドラゴンボールZ』はプロデューサー交代によって蘇り、『ONE PIECE』の連載決定は4時間以上に及ぶ激論の末の奇跡であった。さらに、編集長就任時には前任者が進めていた新企画をすべて中止し、作家への謝罪行脚を敢行。そこから『NARUTO-ナルト-』『BLEACH』『遊☆戯☆王』『ヒカルの碁』といった新たな潮流が芽吹いていった。

 本書には、鳥嶋の数々の伝説的エピソードが全編にわたって記録されている。鳥山明に500枚のネームをボツにした話、指定した部数に届かない印刷に対し会社役員へ土下座を迫ったエピソード、「原作どおりでない」としてテレビプロデューサーを更迭した件など、編集者としての信念を貫く厳しさと凄みが随所に表れている。

「マシリト被害者の会」と称される盟友たち――堀井雄二(ゲームデザイナー/『ドラゴンクエスト』)、桂正和(漫画家/『電影少女』)、稲田浩司(漫画家/『ダイの大冒険』)らからのコメントも寄せられ、伝説の裏側にあるリアルが浮き彫りになる。

 章立ては『ドラゴンボール』誕生の舞台裏から始まり、『Dr.スランプ』アニメ化の反省、『ONE PIECE』連載決定の裏側へと続き、ここ40年間の名作が次々と登場する。『ジャンプ』を愛読してきたすべての元少年たちへ向けた、衝撃の仕事本となっている。

 巻末には「キミを変えるかもしれない」極意を記した袋とじを収録。超ヒットメーカーが語る金言が収録されている。

書籍情報

『ボツ 『少年ジャンプ』伝説の編集長の“嫌われる”仕事術』
著者:鳥嶋和彦
仕様:四六判・並製・308頁・本文1C
定価:1,760円(10%税込)
発売予定日:2025年5月22日

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