『となりのナースエイドSP』澪は川栄李奈にぴったりな役だ 高杉真宙のツンデレが冴え渡る

川栄李奈が主演を務める2024年1月期放送のドラマ『となりのナースエイド』(日本テレビ系)が、スペシャルドラマ『となりのナースエイドSP2025』として約1年ぶりに帰ってきた。

連ドラのラストでPTSDを克服した澪(川栄李奈)は、ナースエイドを続けながら、外科医としてオームス開発にも携わる道を進んでいくことを決めていた。今回のスペシャルドラマでは、外科医に復帰して1年、星嶺医大のエースとして活躍する澪の姿が描かれる。連ドラのキービジュアルは、外科医だった頃のメスを持つ澪が“裏”の素顔としてすりガラスで伏せられたものであった。ナースエイドと外科医の二刀流となった澪は、ようやく本領を発揮した本来の姿とも言えるだろう。

外科医として手術をする澪は冷静さを優先してか笑顔は少なめだが、そのままオペ室を出てナースエイドの業務につくと前向きバカな澪に早変わり。さらには玲香(瀧本美織)のもとでのオームス開発のオペレーショントレーニングまで。澪を突き動かしているのは、医者としての誇りとナースエイドとして患者に寄り添いたいという思い。だが、「全てに手を抜きません」という宣言が、澪自身の首を締めていくことになってしまう。とはいえ、改めて『となりのナースエイド』を観ていて感じるのは、澪が川栄にとってぴったりな適役だということ。取材会では川栄自身もその効率の良さを認めていたが、なんでもこなしていくという点は、澪と川栄の共通点と言ってもあながち間違いではないだろう。

今作のポイントは、アメリカに旅立った大河(高杉真宙)の帰国、さらに外科医の虎徹(千葉雄大)という新たなキャラクターを迎え勃発する三角関係だ。大河がいなくなった星嶺医大で澪とツーマンセルを組む虎徹は、澪への好意を公言する人物。病院内でも澪との仲の良さから付き合っているのではないかという噂が立つほど。澪は虎徹の好意、優しさを受け止めながらもスルリとはぐらかしていく。そんな折に電撃帰国した大河。1年ぶりの澪との再会にも関わらずリアクションはあっさりとしていて、しかも自分勝手な態度を取る傲慢さ。医者としても、人間としても考えや性格が相反する虎徹の登場によって、大河の俺様キャラが際立つ構図となっている。

コメディとサスペンスが共存する『となりのナースエイド』において、謎の要素を担っているのが患者を死に至らしめる不治の病「シムネス」。連ドラのラストでは、澪の姉・唯(成海璃子)がシムネスと戦う「火神細胞」を開発した火神教授(古田新太)に迫り、「もしかして、火神細胞がシムネス……」と言ったところで口封じされてしまい、大河が「シムネスは進化している」と口にしたところで物語は幕を閉じていた。今作では火神細胞の真実がついに明らかになっている。パナシアルケミ製薬の専務・大須賀学(吉田鋼太郎)から語られるのは、火神細胞がシムネスを生み出しているという驚きの事実。10万人に1人の確率でシムネスが発症することを知りながらも、火神は私利私欲に走り、唯はそのことを突き止めていたことになる。