トム・クルーズ、パンツ一丁で怒りの説教! とにかく脱ぐ『M:I/ファイナル・レコニング』

『M:I』第8弾、トム・クルーズの脱ぎっぷり

 トム・クルーズ、パンツ一丁で怒りの説教! 「インターネットやめろ!」 ……簡単に言うと本作『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(2025年)はそういう話である。

 『ミッション:インポッシブル』は、凄腕スパイのイーサン・ハント(トム・クルーズ)が、不可能な任務に挑む人気シリーズだ。今回はシリーズ完結編とも言われる集大成であり、前作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』(2023年)の直接の続編でもある。しかし前作は、間違いなくシリーズで最も風呂敷を広げまくった映画であり、最も混乱した映画であった。

 まず敵が悪のAIだ。これまでもいろんな敵と戦ってきたイーサンだが、相手があまりにもサイバーすぎる。そのうえ、極悪AI“エンティティ”は自我を持ち、世界中のインターネットを支配できるという。出てくる映画を間違えているというか、ほとんど『攻殻機動隊』とか『マトリックス』(1999年)の敵である。普通の人間が頑張ってどうにかなる相手ではない。

 そしてトムクルさんの映画作りの姿勢もエスカレートしすぎていた。トムクルさんは最初にアクションシーンを作り、そのあとで物語を補完していくという。いわば“アクションありきの映画作り”をやっているわけで、つぎはぎ気味の話になってしまうのは当然なのだ。6作目の『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018年)でも、細部に思いを馳せると「?」となる箇所があり、予告のシーンがまるっと消えるなど、不可解な部分はあった。『デッドレコニング』はそのあたりのバランスが大きく崩壊。過去作で最も謎の多い映画になってしまった。そして本作『ファイナル・レコニング』も、なんとジャパンプレミアの3日前に完成したことが明らかにされている。

 デカすぎる風呂敷に、無茶すぎる制作方法。いろいろと限界が見えていた。しかし、トムクルさんはやり切った。もちろん『ファイナルレコニング』には短所もある。単純に上映時間が長いことや、例によって話が相変わらず混乱気味などなど……。一方で、これらを補うだけの長所もある。それこそがトムクルさん、御年62歳の肉体言語だ。身ひとつの頑張りにある。

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