『日本一の最低男』黒岩が今後のキーパーソンに? 出演作が途切れない橋本じゅんの存在感

放送中の『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系/以下、『日本一の最低男』)は“ホームドラマ”とあって、主演の香取慎吾をはじめとする出番の多いレギュラーメンバーは限られているが、安田顕や冨永愛といった脇を固める者たちの存在によって、力強いテレビドラマとして成立している作品だ。そのひとりが橋本じゅん。出演作が途切れない、バイプレイヤーである。
本作は、人生の崖っぷちに立たされた“日本一の最低男”こと大森一平(香取慎吾)が、義弟の家族と生活をともにするうち、やがて社会を変えるべく奮闘していくことになる新しいホームドラマだ。シングルファザーである義弟の小原正助(志尊淳)は、仕事と家事・育児の両立に限界を感じ、一平を頼ることに。この状況を、“日本一の最低男”は利用する。不祥事を起こしてテレビ局を追われた一平は、政治家になって社会的に再起してみせようと画策。世間からのイメージアップに小原一家を利用しているところなのである。
いや、現在は程よい距離感で、“互いに利用し合っている”ともいえるだろうか。そしてこの関係性の中で、特別な感情が生まれていたりもするわけだ。
そんな本作で橋本が演じているのは、衆議院議員の黒岩鉄男。一平の幼なじみである真壁考次郎(安田顕)が秘書として仕える存在であり、一平が目指すべき地位にある人物だ。とはいえ、黒岩が登場する機会はかなり限られている。先述しているように本作はホームドラマなのだから、主として描かれるのは一平と小原一家の関係。そこにさまざまな人物や問題が絡んでくることで、ドラマには起伏が生まれる。橋本に関しては、いまのところは本当に“脇を固める者のひとり”に収まっている印象だ。彼の演じる黒岩が私たち視聴者にとって、特別に印象に残るような瞬間は、まだないのではないか。いまのところは、だ。

“いまのところ”と記したのは、これからこの黒岩という人物が物語に深く絡んでくる可能性があるから。というのも、本作はすでに折り返しを過ぎている。私たち視聴者も、小原家の面々も、一平がただの“最低男”ではないことを理解しているだろう。そんな彼だが、いまでも変わらず政治家を目指している。であればここからは、政界に身を置く者たちと関わる機会も増えてくるのではないか。
本作は、いまの社会システムによって回転する日常において、見落とされてしまいがちな問題を拾い上げている。これまで一平が対峙してきたのは、そういった身近で切実な問題たちだ。だからここから彼が本気で政界へと飛び込もうというのならば、現役の政治家たちとの衝突は避けられないのではないか、と考えるのである。幼なじみの真壁ともだ。