『閃光のハサウェイ』新作、原作と異なる展開を考察 ブライト&ギギの活躍に期待?
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』(ジークアクス)完結の喧噪が続く中、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』の公開が今冬と発表されて『ガンダム』シリーズのファンを沸かせている。2021年公開の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に続くストーリーで、ブライト・ノアの息子ハサウェイ・ノアを主人公にテロリスト組織と地球連邦との戦いが本格化していく。ハサウェイはなぜ連邦に反旗を翻したのか? 地球へと降下するシャトルで出会った少女ギギ・アンダルシアとの関係は? ハイクオリティの映像で繰り広げられる物語の行方に期待が向く。
『機動戦士ガンダム』シリーズの土台として世界観を支えてきた宇宙世紀(UC)という「正史」を、多元的に解釈したのが『ジークアクス』だったとしたら、『閃光のハサウェイ』は「正史」という枠組みを、とことんまで突き詰めようとしている作品だ。位置づけとしては、シャア・アズナブルがネオ・ジオンを率いて起こした反乱が鎮圧された『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の後を描いた物語で、シャアたちと戦ったハサウェイが成長した姿で登場する。
シビアな移民問題を描く『閃光のハサウェイ』
世襲の権力者たちに支配され、宇宙から地球へ降りて暮らしたいと願う移民たちの排除を目論む地球連邦にハサウェイは敵対。武力闘争を挑んでいる組織のリーダー「マフティー・ナビーユ・エリン」として活動し、連邦政府の閣僚たちを狙ったテロをひんぱんに起こしている。第1作の『閃光のハサウェイ』で描かれたダバオでのホテル襲撃もマフティーによるもので、大勢の閣僚を一気に殺害する成果をあげた。
夜の市街地で連邦側とマフティー側の戦闘が行われる場面では、見上げるように巨大なモビルスーツから逃げ惑う人々が描かれ、重火器の使用がもたらすすさまじい破壊が人々に与える恐怖とその被害の大きさもあり、モビルスーツの兵器としての凄まじさを改めて見せつけた。『キルケーの魔女』に期待があるとしたら、ひとつはそうしたモビルスーツ戦のリアルを、とことんまで描いてくれるはずだという点だ。
『閃光のハサウェイ』のシリーズは、戦場のリアルであり社会のリアルを細部まで見つめて描こうとしているところがある。『ジークアクス』第1話「赤いガンダム」でも、イズマ・コロニーの軍警が避難民たちの暮らす地域を不法なものとみなし、モビルスーツで蹂躙する様子が登場した。もっとも、そこでは逃げ惑う人々は見せても、生死に関わるような残酷な描写は避けようとしていた。
『閃光のハサウェイ』は、第1作でコロニーから地球へと降りるシャトルの中で、マフティー・ナビーユ・エリンを名乗る覆面テロリストが閣僚もその妻も問答無用で射殺する残酷なシーンを描いてテロのリアルを見せつけた。そしてダバオ市街地での超絶リアルなモビルスーツ戦を描いてその恐怖を想像させた。2024年にNetflixで配信された『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』も、最強のモビルスーツに迫られる恐ろしさを強く感じさせたように、市民の目線では、『閃光のハサウェイ』で感じる恐怖心が上回るかもしれない。