『悪縁』『イカゲーム』『狩りの時間』 狂気と底知れなさを放つパク・ヘスの意外な魅力 

『悪縁』パク・ヘスが放つ狂気と意外な魅力

 韓国のノワール作品に欠かせない俳優は多いが、その中でもパク・ヘスの存在は大きなものだろう。

 Netflixにて配信がスタートしたドラマ『悪縁』。多額の借金を抱えた男が、保険金目当てで父親を轢き殺そうと計画するところから始まる物語だが、次第にその計画が様々な人を巻き込んでいく。

『悪縁』Jihyeong Seo/Netflix © 2025

 パク・ヘスが演じるのは、轢き殺した現場を目撃した男。これがかなり異常な男だ。彼は轢いた男サンフン(イ・グァンス)から賄賂をもらい、ついでに遺体の処理を手伝うことになる。しかし遺体を見ても、一緒に埋めても全く動揺を見せない。そして賄賂をもらっておきながら、財布を持っていないからタクシー代が欲しいとお願いする。その上サンフンと別れた後もまた、再び現れてさらにお金を要求し、「ファイティン!」と笑顔まで見せる……。

 そんな何とも不気味な表現力があるパク・ヘスの出演作として思い浮かぶ作品は、ドラマ『イカゲーム』ではないだろうか。彼は、名門のソウル大学を卒業したものの、60億ウォンもの借金を抱えているサンウを演じた。主人公ギフン(イ・ジョンジェ)と幼なじみのサンウは、彼と“イカゲーム”にて再会する。仲間にゲームのコツを教えてあげる優しい一面もあるが、勝利を目前にすると仲間をも陥れる一面もある男。内在するインテリ感との対比もあって、本質が見えない不気味な佇まいがよく似合っていた。パク・ヘスはそのような狂気的な面を持つキャラクターや頭が切れるキャラクターでこそ、その存在感を発揮する俳優だと言える。

『イカゲーム』Noh Juhan | Netflix

 その狂気が際立つ作品としては映画『狩りの時間』が挙げられるだろう。荒廃したソウルを背景に、賭博場を襲ってお金を得ようとする4人の男がメインキャラクターとなる本作で、お金を盗んだ彼らを執拗に追いかける殺し屋ハンとして、4人だけでなく視聴者にもただならぬ恐怖感を与えた。セリフは少ないのだが、いつどこから現れるかわからない恐ろしさと醸し出される威圧感がこの映画の面白さを作り出していると言っても過言ではない。

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