奥平大兼×出口夏希×佐野晶哉×菊池日菜子×早瀬憩が語り合う、学生時代と“かくしごと”

　奥平大兼と出口夏希がW主演を務めた映画『か「」く「」し「」ご「」と「』が、5月30日に公開。主人公・京を奥平、三木直子（ミッキー）を出口がそれぞれ演じるほか、体育会系でいつも明るく笑顔な人気者・高崎博文（ヅカ）をAぇ! groupの佐野晶哉、予測不能な言動でいつもマイペースな黒田文（パラ）を菊池日菜子、内気で控えめな性格で、ある日突然学校に来なくなる宮里望愛（エル）を早瀬憩が演じている。

　“誰にも言えない秘密”を抱えた5人の高校生が、少しずつ心を通わせていく姿を描いた本作。そんなキャラクターたちを演じた5人に、自身の学生時代を振り返ってもらいつつ、演じた役との共通点やギャップについて語ってもらった。

奥平大兼×出口夏希×佐野晶哉×菊池日菜子×早瀬憩の撮り下ろしカット（多数あり）

撮影を通じて変化した“第一印象”

――最初に原作や脚本を読まれたとき、どんなところに魅力を感じましたか？

奥平大兼（以下、奥平）：台本の前に原作小説を読ませていただいたのですが、その時点で「ぜひ、やらせていただきたい」と強く思ったのを覚えています。物語には“みんなには隠している、少しだけ特別なチカラがある”という設定がありますが、登場人物たちが抱える悩みは、僕たちの生きている現実と地続きであるように感じられたんです。それぞれのキャラクターがとても魅力的に描かれていて、特に京には強く惹かれました。

出口夏希（以下、出口）：「こんなにキラキラしたミッキーを演じられるんだ！」ということ。嬉しさがこみ上げてきました。誰かのために自分の気持ちを後回しにできる優しさや、人をまっすぐに想う一途さがあって、読み進めるうちにどんどん好きになっていきました。

佐野晶哉（以下、佐野）：登場する5人はそれぞれ違う悩みを抱えているけれど、根底にある感情にはどこか共通するものがあって、僕の学生時代と重なる瞬間がたくさんありました。誰にでも感情移入できるし、共感できるセリフが詰まっていて。撮影を終えたあと、「学生時代にこの映画を観たかった！」と思いました（笑）。

菊池日菜子（以下、菊池）：私はパラのことが本当に大好きで、彼女を演じられることがとても嬉しかったです。ただ同時に気持ちが強い分、ちゃんと演じきれるのかというプレッシャーも大きくて。それを乗り越えられるかどうかが一番の課題でした。原作を読んだときに感じたのは、それぞれのキャラクターに寄り添える余白があるというか、読み手によって“響く部分”が変わってくる物語だということ。だからこそ、作品が映像化したときにどう受け取られるのかが本当に楽しみで、撮影から完成まで、ずっとワクワクしながら待っていました。

早瀬憩（以下、早瀬）：もともと住野よるさんのファンで原作も読んでいたので、お話をいただいたときは本当に嬉しくて、すぐに「やらせてください！」と答えました。ただ、好きな作品だからこそ「私でいいのかな？」という不安もありました。実際に高校生活を送っている今の自分だからこそ共感できる部分が多くて、背中を押してくれるような言葉にもたくさん出会えました。この作品を通して、誰かにもそんな言葉が届いたら嬉しいなと思いながら演じました。

――隣の人の第一印象と、撮影を通じて変化した印象を教えてください。

早瀬：出口さんは最初の印象とあまり変わっていないかもしれません。なっちゃんがいるだけで現場の空気が一気に明るくなって、自然とみんなが笑顔になるんです。言葉や行動すべてに嘘がなくて、本当に清らかで素直な人だなって思います。

出口：奥平さんとは実は『赤羽骨子のボディガード』でご一緒していたのですが、そのときはしっかりとお話しできてなくて。それもあって、初めは私の中でのイメージだと京くんに近いと思っていましたが、実際話してみたら全然違っていて。思っていた以上にハキハキ話していたし、面白くて、すごく楽しい方。イメージとは真逆でした（笑）。

奥平：佐野さんのことは実際に会う前からテレビで見ていて知っていたので、きっとイメージ通りの人なんだろうなって思ってました。実際に会ってもやっぱりそのままで（笑）。裏表がなくて、すごく自然体な人だなと。クランクインの日に「ご飯行こう！」と誘ってくれて行ったのですが、初めましてなのに一緒にいてすごく楽しくて、居心地の良さに驚きました。

佐野：菊池さんとはずっとふざけ合ってました。クランクインの日にまず（奥平）大兼とすぐ仲良くなって、男子校みたいなノリで盛り上がっていたのですが、そこに自然にスッと入ってきて、ノリを加速させてくれて（笑）。ただ面白いだけじゃなくて、ときどき本質を突くような言葉をさらっと言ったり、感情を表すのもすごく詩的だったりと、知れば知るほど奥が深い人だなと感じました。

菊池：早瀬さんはもともと『違国日記』を観ていたので、純朴で物静かな印象があったんですが、実際に会ってみたら……魔性の女でした（笑）。

一同：（笑）

出口：わかる！　私も初日にハグされました。 

菊池：パラの役柄もあって、気丈に振る舞っていたんですが、「かわいすぎる！」と内心ドキドキしていました（笑）。

――撮影中の印象的なエピソードや、心に残っているシーンはありますか？

出口：実は5人全員が揃うシーンがそんなに多くなかったんです。でも、花火のシーンはすごく記憶に残っています。ねずみ花火やへび花火をやったり、純粋に楽しんで撮影してました（笑）。

早瀬：ほんと楽しかった！

佐野：素の僕らが出てる感じがしてよかったよね。

奥平：脚本もそのシーンだけ白紙で、実際の撮影時間は結構長かったんです。監督の意図で、5人が本当に自然に楽しんでいる空気感を大事にしたかったみたいです。だからこそ、あのシーンは本当に素の5人が映ってると思います。

菊池：花火のシーンでいうと、私はミッキーと京くんが見つめ合うシーンが特に印象的でした。モニターで見ていたんですが、2人の表情がすっごくよくて、思わず泣いてしまったくらいです。

早瀬：私もアフレコのときにそのシーンを観て大号泣して、アフレコブースから出てきたときにみんなに笑われました（笑）。

奥平：えーそれは知らなかった。

出口：あと、ヅカの誕生日をカラオケ屋で祝うシーンもあったね。

佐野：懐かしい（笑）。

奥平：モニターにヅカの写真が映っていて、周りにメッセージがたくさん書いてあるんですけど、あれって僕たちが実際に書いてるんですよ。細かいところもリアルにこだわっていて、思い出深いシーンです。