小野大輔×釘宮理恵、“がっつり共演”した現場の思い出語る 「一緒にいて心地いい関係」

小野大輔×釘宮理恵、現場の思い出語る

 全世界シリーズ累計発行部数3,600万部を超える、枢やなが『月刊「Gファンタジー」』で連載中の同名コミックを原作としたアニメ『黒執事 -緑の魔女編-』。19世紀の英国を舞台に、“悪魔の執事”セバスチャンと主人である名門貴族ファントムハイヴ家の若き当主シエルが織りなす美しくも過酷な物語が描かれていく。

 『緑の魔女編』の舞台となるのは、ドイツにある狼の谷(ヴォルフス・シュルト)。村中には魔女狩りを彷彿とさせる拷問器具やギロチンが置かれており、周囲の森には人狼が徘徊している。そんな恐ろしい村を統治する幼い領主のサリヴァンと出会ったセバスチャンとシエルは、森に足を踏み入れると死に至るという謎を追う。

 本作で、セバスチャンを演じ続けてきたのは小野大輔。そして今作から新たに登場するジークリンデ・サリヴァン役として、釘宮理恵が加わった。長年セバスチャンとともに歩んできた小野と、新たな風を吹き込む釘宮が、作品に対する想いや収録の裏側、それぞれのキャラクターに込めた感情について語った。

『黒執事』の「ディテールにすごく感動した」

ーー お二人が演じているキャラクターに対する印象や、出演に対しての感想を聞かせください。

小野大輔(以下、小野):自分が30歳のときから15年以上演じさせていただいて、文字通り“代表作”になったと思っています。アニメーションは総合芸術で、執事が主人なしには存在できないように、自分1人だけがパフォーマンスをするわけではない。監督をはじめとして、脚本や音響監督などたくさんのスタッフの方々がいて、そして、他の出演者がいる。たくさんの人と手を取り合って作っていくものが、僕たち声優が関わっているエンターテインメントであることを、改めてセバスチャンから学んだような気がしています。代表作であるということも含めて、一生ものの宝物をこの役からいただいたなと思っています。

釘宮理恵(以下、釘宮):私が声優として活動しているのと並行して、『黒執事』は常に展開していると感じていたのですが、今まで接点がなかったので、タイトルしか知らない状態でした。でも、2024年『寄宿学校編』が放送された際に久しぶりのアニメ化と知って、「今でもやっているんだ、すごいな」と思っていました。そこにまさか自分がキャスティングされることになるとは夢にも思わず、ご縁を感じて嬉しかったですし、作品ロゴからも伝わるこの耽美な世界に、どのような形で関われるのだろうかと、とてもワクワクしました。

ーー『黒執事』の世界観の美しさはすごいですよね。

釘宮:ちょうど先ほどディテールにすごく感動したっていう話をしていたんです。第1話に登場する、ガラスの器に盛られたフルーツが本当に美しくて。果物もそうなんですけど、ガラスの器もなんて綺麗なんだろうと感動して観ていたら、そのあとシエルがスプーンですくい上げるコンソメスープが本当になめらかでした。

小野:岡田(堅二朗)監督が聞いたら喜ぶと思いますよ。

釘宮: スープの表現に圧倒されていたら、その後に登場する紅茶も本当に綺麗で、ここだけ実写なのかと錯覚するぐらいでした。全体を通じて色味や雰囲気がとても素敵で、それがこの世界の中で大事な要素なんじゃないかなって勝手に思っていました。

小野:すごくいい感想! 細部に神が宿るとはまさしくこのことだよね。『寄宿学校編』の第1話で最初の「イエス、マイロード」のセリフまで長い溜めがあるんですが、その間の表現もすごかったんです。紅茶の透明感や揺れの描写もそうなんですが、セバスチャンの髪の毛が一本一本垂れるんですよ。原作ではその場面はそこまで細かく描写されていないのに。監督は良い意味で変態だなと思います(笑)。

釘宮:あの再現度は変態味を感じますね。現実以上にリアリティがあって、なおさら美しく感じられるんです。本当に素敵な表現だと思いました。

ーー『緑の魔女編』が他のエピソードと比べて違う点を教えてください。

小野:大きな出来事としてシエルの過去が少しずつ明らかになり、過去と向き合って乗り越えるということがあるんです。だから、ようやく『黒執事』のメインストーリーが始まると言っていいと思います。劇場版『黒執事 Book of the Atlantic』から『寄宿学校編』では葬儀屋(アンダーテイカー)に焦点が当たり、次はファントムハイヴ家やシエルを取り巻く人たちの話になっていく。『緑の魔女編』ではシエルだけではなく、フィニアンの過去も明らかになるじゃないですか。それって、いちファンとして僕も知りたかったことなんですよ。『緑の魔女編』がアニメになったことで、『黒執事』という作品自体が、メインストーリーに突入していくというドキドキ感があり、ここから知りたいことがどんどん明らかになっていくんです。もしかしたら『緑の魔女編』から観始めた人も何の問題もなくのめり込めるのではないかと思うぐらい、核心に迫るストーリーになっています。

釘宮:『緑の魔女編』は、謎やミスリードも盛り込まれていて、真相にたどり着いたときには予想もしていなかった展開が待っていました。ドイツの歴史も重なっていて、様々な要素がうまく噛み合っている作品だという印象を受けましたし、想像以上に精神をえぐるような展開が続いて本当に意外でした。その一方で、キャラクター同士の絆が深く描かれていることで、関係性が築かれていないと成立しないやり取りがあったりと、巻を重ねてきたからこそ味わえる心地よさもありました。

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