『ストリートファイター6』でファン急増! “格ゲー”ブームが映像業界にもたらす余波

もちろん格闘ゲームにおいて重要なのは因縁だけでなく、友情やライバル関係、恋愛要素などがしっかり作り込まれることもある。例えば『BLAZBLUE』シリーズはその代表格で、キャラクター同士の関わりが丁寧に描写されている。アニメやマンガ、舞台化など、同作のメディアミックスが盛んに展開されているのは、このことと無関係ではないだろう。また、『GUILTY GEAR』シリーズもキャラクター同士の関係性や背景などにこだわっており、現在放送中の『GUILTY GEAR STRIVE: DUAL RULERS』は、作中キャラであるカイとディズィーのあいだに生まれた子ども、シン=キスクを主人公とした物語となっている。
そのほかキャラクターごとに個性的なアクションが用意されていることも、映像化に有利な点だろう。とくに現在のアニメはCGを活用することで、激しいアクションシーンを再現できるようになっているので、“格ゲーアニメ”の機運は高まっていると言えそうだ。
それでは、具体的にどんなタイトルの映像化に期待できるのだろうか。候補を考えてみるなら、たとえば『MELTY BLOOD』シリーズを挙げられる。
同作はTYPE-MOONが手掛けたノベルゲーム『月姫』の関連作品で、スタイリッシュなゲーム性や独創的な設定によって今でも根強い人気を誇る。コミカライズもされているので、アニメ化向きの原作ではないだろうか。
また海外人気も考慮するなら、SNKのタイトルを外すことはできない。とくに同社のオールスター作品である『ザ・キング・オブ・ファイターズ』には、多数の人気キャラクターが存在する。同作は過去にもアニメや実写映画になっているものの、現代の映像技術であらためて作り直すことで、よりクオリティの高い作品が生まれるかもしれない。とくに格闘ゲームのブームが来ている今なら、以前より制作にかかる予算を確保しやすくなっているはずだ。
そのほか前述の『対ありでした。~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』や、大ヒットを記録し、2018年にアニメ化もされた“‘90年代アーケードゲームラブコメ”コミック『ハイスコアガール』シリーズのように、“格闘ゲームについて描いたマンガ”を映像化する道もあるだろう。この分野の金脈としては、プロ格闘ゲーマーのパイオニア・梅原大吾の生き様に迫った『ウメハラ FIGHTING GAMERS!』、お嬢様ゲーマーたちが勝利のため魂を燃やす『ゲーミングお嬢様』などが挙げられる。
最盛期と言われた1990年代以来の大ブームを巻き起こしている格闘ゲーム。その波が映像の世界に届き、ヒット作が誕生すれば、さらなるブームの拡大が望めるだろう。今後の展開を期待しつつ見守りたい。